三菱アウトランダーPHEVをレビュー


YouTubeではレビュー動画を作ったのですが
三菱ディーラーで行われている1泊2日モニターキャンペーンにて
三菱自動車のアウトランダーPHEVに乗せていただきましたので
今回は車のレビューを文章にしてみようと思います。



まずは見た目。
正直言うとマイナーチェンジ前のアウトランダーはのっぺりとしていて
あまり好きなデザインではなかったのですが、
先のマイチェンで、メッキ調のグリルがつき、
より精悍な印象になったと思います。
個人的には、ホイールのデザインが他では見かけないパターンで
結構好きだったりします。

内装に関してはところどころにピアノ調のパネルが使用されており
また革っぽい素材や柔らかいクッション材を多用することで
値段相応の高級感を演出できていると思います。
後部座席は広さは確保されているのですが、
バッテリーのせいで床面が高く、
若干体育すわり気味になってしまうところが気になります。



「走り」について
電気モーターの特性によって、ガソリン車やディーゼル車にはない
息継ぎや段のないシームレスな心地よい感覚を与えてくれます。
ただ、それでも加速感はスバルフォレスターXTやマツダCX-5 XDには及びません。
パワートレインの最大トルクで後塵を拝しているのも理由の一つですが
やはり床下にあるバッテリーが、車の重量を増やし、加速感の減衰につながっています。

ただ、そのバッテリーの重量増のため、乗り心地は大変重厚感のあるものに仕上がっています。
路面の細かい振動は、シートやハンドルにほとんど伝わってきませんし
大きな振動も角を取っていなしており、その面では800万円クラスの高級車のような乗り心地を感じさせてくれました。
さらに、水溜りや轍を通過した際もハンドルが一切取られるようなことはなく
スムーズに何事もなく通過していく点は、さすが三菱のSUVといったところでしょうか。

バッテリーを床下に搭載しているため、車全体の重心が低く
安心してハンドルを曲げることができます。
ハンドルの応答性自体は他の国産SUVとあまり変わりませんが
地を這っていくような安定感はこの車ならではのものです。

その一方でタイアのグリップ力が甘く、そこまで高速で曲がったつもりでなくとも
「キキーー!」とスキール音が鳴ってしまったり
濡れた路面で突然アンダーステアが出てしまったりと、怖い思いをすることもありました。
足回りは(三菱の説明によると)ランエボのAYCなどの技術を応用しているとのことで
決して悪いものを使っているはずではないので、やはり問題は履いているタイア
「トーヨータイヤ A24」にあるのではないかと思われます。
(兎角、最近の三菱自動車は新車装着時タイアを軽視しがちのように感じます)

ボディのスタビリティはそれなりにありましたし、
安定感も抜群なので、もしかしたらタイアを良いものに変更さえすれば
劇的に良いクルマになるのかもしれませんね。


今回の移動距離は910キロ。一部高速道路を使用しましたが、ほとんどが交通量の比較的少ない峠道などでした。

三菱ということでみなさん気になる燃費の方ですが
貸出時には満充電で、その後80パーセントまでの急速充電を3回行いましたが
トータルで燃費は15.6km/Lでした。

うーーーん、どうなんでしょうこの数値
個人的には充電を3回したのに、ハイブリッド燃費の20.2km/Lにすら達しなかったのはちょっとなぁと思います。

例えばウィークデーは通勤のために充電した電気を使い、
ウィークエンドに遠出のためにガソリンを併用する
みたいな生活をPHVユーザーは想定しているのでしょうし、
実際私も、それが理想というか最もクレバーで現実的なエコカーの正解なのではと
思っていたのですが、私が体感したところだと
電気で走るにはエンジンや燃料タンクを邪魔に感じてしまうし
ガソリンで走るにはバッテリーを邪魔に感じてしまう
といったところですね。

ハイブリッド車先進国と言われる日本ですが実は日本で購入できる国産PHVは
リースなどを除くと2016年7月現在このアウトランダーのみです。
そしてそうこうしているうちにアウディやVW、BMWといったドイツ勢が
PHVを相次いでリリースしています。

でもそれが本当に現実解なのか、本当にスマートな選択なのかは
もちろん使いかた次第といったところはあるとは思いますが
私はすこし「欲張りすぎ」のような気がしてなりません。

もうすぐプリウスのPHVバージョンも登場しますが
ある雑誌の記事によると、価格差を取り戻すには充電した電気で
20万キロ以上の走行が必要である、とのことです。

つまり、事実上価格差コストの回収は不可能ということですから
その価格差によって走りや乗り心地、あるいは質感で通常のプリウスと
差をつけ、差別化ができているかということがカギになると思います。
(勿論、環境意識の高い人が購入することも想定できますが果たして日本人で
そこまで環境意識の高い人がどれくらいの割合でいるのかは甚だ疑問です)

その点、アウトランダーは通常のガソリンモデルに比して圧倒的な走行性能
乗り心地、質感を実現できていました。
ガソリンのアウトランダーではなく、PHEVを購入する人は
気持ちの良い運転と、快適な乗り心地を求め、
その上で価格差を納得して購入するのが良いかと思われますし、
そのような差別化の上で検討する人が多いのであれば
燃費以外の理由でPHEVを選択する、というのも
それはそれで私はアリだと思います。

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