投稿

3月, 2018の投稿を表示しています

スバル・インプレッサスポーツ 試乗レビュー

イメージ
先代インプレッサの最下位グレードは、内装のクオリティーが上位車種とあまりにも差があったが、今回のモデルは、所々変化は見られるものの、大まかな雰囲気が上位モデルと一緒という点が素晴らしい。スバルの良心を感じる。 エンジンは先代から特に改良されたという話は聞いていないが、トランスミッションとのマッチングが良くなり、非常にドラマチックな吹け上がりを見せ、アクセルを踏むととても気持ちが良い。回転数の上昇に合わせて、リニアにトルクが立ち上がるため、早く加速したいときは、回転数を上げれば良いという、単純明快な操作フィーリングは、ダウンサイジングターボやディーゼル、ハイブリッドや EV が幅を利かせる昨今では、実は珍しいものだ。極めて回転数の低い領域では、やはり線の細さを感じてしまうが、アクセルに対するレスポンスは素晴らしく、現代のエンジンにしては、迷わず高回転まで吹け上がる。先代の 1.6 リッターエンジンも、回せば気持ちよかったものの、どこかもったりとしていて、特に低中回転域では、眠い印象があったのだが、今回の 1.6 リッターはとても元気が良くなり、鼻先の動きも軽快になるなど、積極的にこちらを選ぶ理由になりうる。冷間始動直後や強目に加速したときは、3千回転あたりのところで、水平対向特有の、ポロポロというノイズが聞こえてくるが、それもわずかだし、巡航中はエンジン音は全く聞こえない。水平対抗なので当然振動は全く伝わってこない。また、アイドリングストップは始動が非常に早く、2リッター同様、再始動時のショックも小さい。 トランスミッションはむしろ2リッターよりも、こちらの方がマッチングが良いのではないかと感じる。2リッターでは低速域でのアクセルの操作性に若干違和感があるのだが、こちらのモデルではむしろシームレスに、滑らかに加速していく。先代のインプレッサでは、 1.6 リッターでは(前期型だと)パドルシフトがなければ、マニュアルモードすらないという、リニアトロニックの良いところを全く享受できない、悲しい仕様だったのだが、ついに今回から、最下位グレードでもパドルがついた。ギア比は多少ロングよりだとは感じたものの、操作した瞬間にカチッと変速が決まる上に、ショックもそれほどでないため、雪道などでは非常に頼もしい

ダイハツ・ハイゼットカーゴ 試乗レビュー

イメージ
エンジンはダイハツの軽自動車ではおなじみ、 KF 型の自然吸気で、ムーブやタントと比べるとほんの少しではあるがスペック的には強化されているようだ。だが、いざ乗ってみると定回転トルクは不足に感じ、高回転も伸びないと感じた。街乗りで不満に感じるようなレベルではないが、そこまで荷物を積載していない状態でも、山道の上り坂で、60キロを維持するのは非常に大変だったし、高速道路では追越車線にでることは至難の技であった。ダイハツ製のエンジンは、低回転トルクに優れている印象を持っていたのだが、ハイゼットではそれを感じることはあまりなかった。むしろ以前乗った、ハイゼットトラックのほうが、スペック上では劣っているにも関わらず、 MT ということを考慮に入れても、低回転トルクは厚かったように感じる。エンジンの振動については、座席の下にエンジンが収められている割には伝わって来なかった。床とアクセルペダルに、若干の振動を感じたものの、お尻には感じなかった。これは前編でも述べたように、シートが分厚く、座面で振動が充分に吸収されていたのだろうと思われる。下位グレードでは、シートの素材などが異なっているため、ここら辺がきになる人は、試乗等で一度確かめてから購入した方が良いかもしれない。エンジン音については、巡航レベルでもかなり耳につく。アクティーほど聞いていて気持ちの良いエンジン音ではないので、もう少し音は抑えてもらえればありがたいところ。 トランスミッションである4速の AT は繋がりはとてもスムーズだ。ギア比もちょうどよく、高速道路でも、エンジンの非力さはおいておくとして、ギア比的には高速道路でも余裕であった。ただ、シフトダウンの際のマナーはあまり良くなく、オーバードライブオフや、セカンドレンジに入れた際に、ガクッと前のめりになってしまった。また、 CVT のダイハツ車よりも、アイドリングストップ復帰時のショックが大きく、驚きを伴うほどのものであった。それでも、一昔前の軽自動車の商用車は大体が3速 AT で、今でもアクティバンの2 WD は3速 AT のままだが、4速になっただけでも進化したと認めるべきなのだろう。プロボックスや AD バンのクラスだと、すでにトランスミッションは CVT が多くなってきているが、スペース的な制約

トヨタ・ランドクルーザーシグナス 試乗レビュー

イメージ
エンジンはスペックで見ると非常にパワフルだが、さすがに2.5トンを超える車重を動かすとなると、相殺されて普通の車と同等の加速に感じる。ただ、重量が軽くて非力なエンジンの車と、重量が重くて強力なエンジンの車では、同じトルクウェイトレシオだとしても、重量の重い車の方が、なんとなく余裕を感じることが多い。車輪が大きく、重いうえに、直径も大きいということを考えれば、最初のひところがりがスムースに感じることは、むしろ驚異的な出力のエンジンであると言えるのかもしれない。一度スピードに乗ると、車はスイスイと加速していく。シリンダーの多い V 8エンジンであるため、高速巡航はお手の物で、軽々と巨体を高速域まで持っていってしまう。エンジン音については、アメリカの車のように、ドロドロとした音を予想していたのだが、アクセルを吹かすと、思ったよりも乾いたような、ミーンという高音が気になるエンジンで、最初はは V6 エンジンなのかと勘違いしてしまった。一般的な V8 エンジンのような、ドロドロとした野太い音が好きな人は、少しがっかりしてしまうかもしれない。パーシャル領域や巡航レベルであればエンジン音はほとんど伝わって来ないし、走行中はエンジン振動も伝わって来ない。多気筒エンジンの優秀さをこれでもかと感じ取ることができる。 トランスミッションである5速のオートマチックは、やはり時代を感じる出来栄えであった。基本的にはコンフォート志向で、ダイレクト感はあまりないのだが、ファーストからセカンドにギアチェンジするときは若干ショックを感じる上に、アクセルを踏み込み、キックダウンを起こした時は、かなり大きなショックが出る。また、エンジンブレーキを使用するため、セレクトレバーをセカンドレンジにすると、これまた前のめりになるような、ガクッとする動きが出る。特にも最近の CVT の、良くも悪くもまろやかなフィーリングになれている人は、少し戸惑ってしまうかもしれないし、凍結路の下り坂などでは、これをきっかけにして挙動が乱れてしまうかもしれない。ただ、当時の車だと、高級車でもだいたいこんなものであるため、この部分を指摘して欠点だといってしまうのはかわいそうだと言える。 この車にはコンフォートモードと、スポーツモードを切り替えるつまみがあるのだが、スポ

トヨタ・プリウス(2代目、20系)試乗レビュー

イメージ
パワートレインについては、3代目の 1800cc に対して、 1500cc であるため、トルク感や伸びが悪いのではないかと予想していたのだが、意外と体感において違いは感じられなかった。出だしではエンジンを使用しないため、当然静かだが、ある程度アクセルを踏み込むと、現行のプリウスよりもエンジン音が大きく侵入してくるように感じた上に、エンジンの音質も、現行のものより音程が高く、耳障りに感じた。エンジンが 1800cc になった理由は、排気量をあげた方がむしろ燃費が良いだとか、エンジン音を低減する目的があったのかもしれない。トヨタ式のハイブリッドは、現行のものであればモーター駆動からエンジンが走行に介入し始めたとき、本当に最細心の注意を払っていなければそれに気づくことはないのだが、今回乗った車では、今まで乗ったトヨタのハイブリッドカーの中では最もショックが大きく感じた。しかし、それでも不快で仕方ないというほどではなく、なんとなく背中に伝わってくるというレベル。基本的に現行のトヨタのハイブリッドと同じく、シームレスに加速していく。個人的には、現行のトヨタのハイブリッドカーよりも荒削りな部分が多いため、むしろエンジンやトランスミッションなどの機械的なところを感じながら運転することができるという意味においては、今のプリウスよりも運転していて楽しいと感じた。 ハンドリングについては TNGA を採用し、後輪にダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用した、現行50系プリウスと比較してしまうのは流石にかわいそうだなと思ってしまうが、やはり特にワインディングなどでクイックに操作したときは怖いものがある。フロントの剛性は意外と高いものがあるとは感じるものの、車の後ろ側がなかなかついて来ず、少し前のステーションワゴンを運転しているのに近い感覚がある。リアの接地感がとても曖昧なため、高速でコーナーを曲がっていると、リアが破綻してしまうのではないかと不安になってしまう。この車はいまだに地方都市などではタクシーとして使われていることが多く、私自身も乗客として後ろの席に乗る機会は何度かあったのだが、その度に後ろ側の剛性感がない車だと感じていた。今回初めてドライバーとして乗ってみたわけだが、想像していたよりもフロントはしっかりしていたため、後

ダイハツ・ミライース/スバルプレオプラス 試乗レビュー

イメージ
シンプルさの中に眼力を備えたアルトとは異なり、日本的価値観に逆らわず、いかつめの顔へと変貌を遂げた。 後ろの席はアルトよりも気持ち狭い。ただ、頭上空間、膝回り共に充分な広さがある。ハイト系や、スーパーハイトワゴンを検討している人は、一度乗って見て、広さを実感してほしい。 乗って一番最初に感じた印象は、エンジン音がうるさいということであった。先代のミライースもうるさかったが、それとほとんど変わっていない。アルトも加速しているときは、エンジン音が車内に響いてきたが、ミライースはそれよりもさらに、低い音程でジンジンと響いている。巡航時でもそれなりにエンジン音は聞こえてくるし、アクセルペダルや床にも振動が伝わってくる。非常に厳しいコスト的制約の中で作られているため、何かを犠牲にしなければならないというのはやむを得ない。ミライースの場合、遮音や、振動対策には、あまりリソースを割けなかったのだろう。エンジンのトルク感は、軽量な車体をもっているにも関わらず、ムーブよりも悪く感じた。他のダイハツ製エンジンと比べても燃費重視にデチューンしてあるため、そこは仕方ないかもしれない。アルトと比べても、中速域での伸びが悪い。ただ、先代のミライースと比較すると、アクセルのツキはだいぶ良くなり、アクセルの動作に対して、瞬時にエンジンが反応するようになった。 トランスミッションについては、先代のミライースで、もっとも私が嫌いだと感じていた部分である。動画では紹介していないのですが、以前、先代のミライースに乗った際には、アクセルを踏んでもエンジンが回らず、やっと回ったと思っても動力がタイヤまで伝わらず、挙げ句の果てに、アクセルを離してもしばらく加速し続けるという、なんとも傑作といえる CVT で、これよりもひどいトランスミッションは、この世にあるわけはないと、日産のデイズシリーズに乗るまではそう思っていたものだ。今回のミライースでは、燃費よりも、走りの良さに振った設定を行なっているということが、しきりにアピールされていたが、確かに、多少のんびりとした印象はあるものの、現代的な CVT に慣れている人であれば、そこそこ自然に操作できるレベルにはあると感じた。走り出しはもったりとしているし、速度が乗ると、やたらと回転数を落とそうとして、

トヨタ・ライトエーストラック 試乗レビュー

イメージ
内装は質感が高いというわけではないし、時代遅れ感も否めないが、工作精度が低いという印象は受けない。新興国からの輸入車は、時々品質面でどうかと思うものがあるのだが、意外というべきか、比較的細かく粗探しをしても、荒っぽい仕上がりに感じるところがなかった。バンと同様、せり出したタイヤハウスのために、ペダルは左に寄っており、見た目も貧相で頼りない。 タウンエースバンに乗った時、日産のバネットと比較して、なんて視界の悪い車なんだと思った。バンと前側は同じ構造のため、あいかわらず信号などはとても見づらいのだが、後ろはとても見やすく、またバックの時の感覚もつかみやすい。 エンジンは、そもそもトヨタ製ではないのでが、一般的なトヨタの4気筒、 1500cc のエンジンと比較すると、回りたがらないというか、粘り気があって眠いという印象。座席の直下にエンジンが搭載されているため、振動もかなり響いてくるし、加速時だろうが、巡航時だろうが、エンジン音はかなりうるさい。ディーゼルエンジンを搭載した、2トントラックの方が、走行中は静かだと感じるほど。ただ、以前乗ったタウンエースバンと比較すると、なんとなくキビキビ感が増している気がした。車検証を見てみると、車両重量が 100 キロ軽く、しかも前回は2名乗車だったのに対し、今回は私一人で乗っているということもあるのかもしれないが、全体的に軽いため、何も積んでいない状態では、交通をリードできる力は持っている。ただし、個人的な感覚では、さらに 750 キロ積載した状態で、まともに走れるとは到底思えない。 トランスミッションである4速 AT は、個体差なのかもしれないが、バンよりもさらに荒削り感が増している気がする。アクセルを踏み込んでも、キックダウンするまでに随分と時間がかかるし、ファーストからセカンドに変わるときは、大きくショックが出る。全体的にクロスよりで、高速道路巡航時は、エンジンの回転がかなり高くなるし、かと言ってそんなにダイレクト感もない。低速域ではギアが迷い、速度調整が非常に難しい。トランスミッションは、かなり負荷がかかる部分であるため、商用車では特に耐久性を重視しなければならない上に、そもそもが新興国向けであるこの車において、設計が新しく、かつ信頼性のあるオートマチックを採用するのは

ダイハツ・ムーヴキャンバス 試乗レビュー

イメージ
視界については、右斜め前がみづいらのが辛い。交差点の右折では、歩行者の存在が確認しづらい。 A ピラーに窓がついているものの、それでも死角は多い。シートポジション高めにし、運転に苦手意識のある女性に対してアピールしてはいるものの、詰めの甘さは感じてしまう。 走り出しはあまり元気とは言えないかもしれない。重量は930kgと、軽自動車にしては確かに重いが、スーパーハイトワゴンというくくりの中では軽い方である。従って、もう少しキビキビとした加速感を期待していたのだが、感覚的に低回転トルクの厚いダイハツ製エンジンをもってしても、気づけばアクセルベタ踏みにしているということがよくあった。交通の流れについていけないというほどではないが、山道では多少イライラすることがあるかもしれない。エンジン音は条件が良い時は静かだが、少しでも加速しているときや、わずかな上り坂に差し掛かった時、減速している時などは、かなり音が侵入してくる印象がある。ムーヴでは静粛性にはかなりこだわっているようで、軽自動車としてはとても静かな車だと感心したものだが、キャンバスは正直もう一歩だ。アイドリングストップのマナーについては、現在の軽自動車の中では標準レベルと言ったところ。再始動は早いし、エンジン停止もなだらかに行われるが、始動した瞬間に車がすこしだけ前後にギクシャクする。 トランスミッションである CVT も、こころなしか、ラバーバンドフィールが、ほんの少しだけ他のダイハツ車よりも大きい気がした。ダイハツの車というのは、低回転トルクが太く、 CVT でもダイレクト感があり、パワートレインやドライブトレインの完成度にはいつも感心させられていたのだが、なぜかキャンバスではそれがあまり感じられなかった。それでいて、ベルトのノイズについては、ダイハツの例によって大きく、煮詰めが足りのないのではないかと思わざるを得ない。 乗り心地については、キュートで柔らかい見た目に反して、路面からの突き上げをかなり感じる。とてもマイルドで、かつフラットライドであったムーヴとは完全にレベルがかけ離れており、同じ名前を冠しているとは到底思えない。足はよく動いている感覚があるのだが、同時に突き返す動きも大きいため、揺れの動き出しはマイルドなのだが、揺れの絶対量がとにか