新型マツダロードスター(ND型)レビュー 1日試乗キャンペーン Mazda MX-5 review

先日YouTubeでもアップしました新型マツダロードスターについてレビューしていこうと思います。


まず見ていただきたいのはこのデザイン!
よく「デザインの好みはひとそれぞれ」などと言いますが、これに関してはそんな言い訳も通用しないくらい美しいと言えるのではないでしょうか。
チーターやジャガーのようなネコ科肉食獣を彷彿とさせるシルエットを持つこの車。
しかしよくよく見てみると別に奇をてらった装飾があるわけでもないですし、ライトやラジエーターグリル等一つ一つの部品は取り立てて面白い形をしているというわけではないのです。
これは近年のマツダにもあまり見られないデザインの傾向で、確かにデミオやアテンザなどのデザインは個人的には秀逸だとは思うのですが、どこか日本的な「足し算デザイン」を感じざるをえないとことがあります。
このロードスターはデザインの思想的にはイタリア車のような引き算デザインで、部品として奇をてらったところはないのだけれど、全体としてとても美しく、引き締まった様に感じる。そんな印象を受けます。
世界カーオブザイヤーに輝くのも納得ですね。

ロードスターに乗ってカッコつける筆者。折角のデザインも台無しか?

さて、肝心なのは走りということですが、
エンジンは自然吸気の直列4気筒の1.5L
最高出力131PS/7000rpm 150N/4000rpmです。
ハイオクタンガソリン仕様ということを考えれば、スペック的にはそこまで驚きのあるものではありません。
しかし、いったん乗って、エンジンを吹かすとその気持ちよさったらありません。
アイドリング状態から、8000回転まで一切の淀みがなく、まるでNAのボクサーエンジンか、ロータリーエンジンか(否、筆者はロータリーエンジン車に乗ったことはありませんが)あるいは最低でもV6エンジンのようなスムーズさを感じます。
私は普段、ターボエンジンの車に乗っているのですが、自然吸気エンジンは改めていいものだなぁと思います。
まああくまで「回転がスムーズ」ということであって、エンジン音や振動は直列4気筒のフィーリングなのですが、おそらくそこはドライブフィールを演出するための「味」としてマツダがあえて残したところなのだと解釈できます。

かつてリセールバリューの低さから「マツダ地獄」とよく言ったものですが
最近はマツダの中古は全く値段が下がりません
ブランド価値の向上には目をみはるものがありますが
一台一台を丁寧に作るからこそなのでしょうね

ハンドリングに関してですが、個人的に最近のマツダの車のハンドリングはとても気に入っております。デミオやアテンザのドイツ車ともフランス車とも言えない「しっかりしているのにどこかしっとりとしている」というフィーリングはマツダ独自の世界観を作り出していると思います。
ですのでロードスターもその延長線上になるのかと思いきや味付けは案外違うものでした。
ハンドルを曲げれば、スッと向きを変え、キビキビとコーナリングを駆け抜けていく。その感覚は、我々がライトウェイトスポーツカーに求めるハンドリングそのものなのですが、その一方でロール(曲がった時に遠心力で車が傾く現象)は結構大きめで最初は驚きました。
一般的にはスポーティーな車であればあるほどロールは抑えめのセッティングをするものなのですがロードスターではあえてそれを残している様です。なぜなのか。
答えは「車の荷重移動を把握するため」なのだと私は解釈します。
ロードスターはプロのレーサーがレースに出場するための改造種車として非常に優秀な車であるという面ももちろんあるのですが、同時に若者や運転初心者向けの草の根レース等によく使用される車でもあります。
私はレースはやらないのですが、コーナーで車を早く走らせるためには車の荷重移動がもっとも重要な鍵を握ります。もし、初めて乗る車が足回りガッチガチの一切のロールを許さない車(私の所有するWRX STIや、あるいはドイツのスポーツセダンのような車です)だとすれば車の荷重移動を掴めと言われてもなかなか酷なものがあるでしょう。
ですからあえてロールを残し、荷重移動を分かりやすくすることで、運転者の技能向上に役立ててもらおう、といった思想が私には感じました。


さて、ATとMT二つのトランスミッションが用意されているロードスターです。
よくネット上では「MTじゃなければ車じゃない!」と言った論調が見受けられますが、それはどうやらノイジーマイノリティーのようで、日本で販売される車は現在ほとんどがATなのはみなさんご存知の通りです。
スポーティーでこだわりが強い車を作っていると一般的に解されるマツダやスバルでさえ販売はほとんどATが主体ですし、スバルに関してはもう国内向けMTの開発自体がストップし、車種によっては一切MTが選べなかったりします。
私自身はMTの車に乗っていますが、それは単なる懐古主義、自己満足の様なものですので他人にMTを押し付けたりすることはしないですし、トルクコンバータ・シングルクラッチ・デュアルクラッチ・CVTなど、どのオートマチック・シーケンシャルトランスミッションをとっても進歩は目覚ましく、今あえてMTに乗る必要性はないと思っております。

その上であえて言わせてください。
ロードスターはMTに乗るべきです。

もしロードスターを購入候補として考えていて「でも免許がAT限定だから」という方、限定解除をお勧めします。

なぜか。ロードスターは走りの一体感を楽しむ車です。それはエンジンがタイアと直結できるMTにのみ与えられた喜びだからです。
ロードスターのような出来の良い車に乗り、長距離を運転していると、まるで車が自分の手足の延長線上にあるのではないかという錯覚に陥ってきます。そしてその感覚こそがロードスターに乗る意味であって、それはエンジンとタイアの回転がぴったりマッチしてこそ、あるいは自分で入れたいギアに入れてこそ得られる感覚なのです。

もしロードスターのATがデュアルクラッチだったらその様なことは言わなかったかもしれません。しかしロードスターのATはトルクコンバーター式でロックアップ機構が付いているとはいえ基本的には湿式の流体の中で変速を行っていくものです。
確かにマツダのトルコンは他のメーカーのものと比べても出来がいいです。しかしそれでもMTのダイレクト感と比べると今一歩の感は否めません。
それに加えて、ロードスターのMTは数あるMTの中でもかなり操作が簡単な部類だと言えます。実際、シフトを入れ間違えてもなんとかなりますし、クラッチを繋ぐタイミングが少しくらい早くても簡単にエンストしたり、ギクシャクすることはほとんどありません。
ですから、MT初心者の人でも簡単に慣れることができると思います。

購入したい人は是非MTを諦めないでいただきたい。ATでも十分楽しめる車だとは思いますが、どうせなら楽しい方を選んだ方が良いです。2シーターの車なんて安い買い物じゃないですからね。

最後に、ここまで長々と書いてきたのでもうお分かりかと思いますが、今回の試乗は心の底から本当に楽しかったといえるものでした。トランクは小さいですし二人しか乗れないので、私に買う勇気はありませんでしたが、間違いなく運転していて楽しく、乗っているだけで笑顔になれる車でした。
ただ単に速い車はこの世にたくさんあります。しかしそこまで馬力の高くないロードスターに乗っていると非力なことがむしろアクセルを踏む口実になっているのだと気づきます。速さなんてものは今の時代そこまで価値のないもので、いかに車と一体になれるのかという点が、今後の「良い車」というものの基準になってくるのかなと感じました。



試乗したのは最上位グレードのRSだったのですが、下位グレードになるとまた味付けが違う様で、そちらにも興味が湧いてきます。




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