投稿

2月, 2018の投稿を表示しています

アウディA1 試乗レビュー

イメージ
エンジンは出だしがとにかく元気で驚く。ノートやバレーノなど、3気筒エンジンの車は概してそうだが、排気量やスペック表から想像するよりも出だしの加速感が大きく、驚くことが多い。今回はその中でももっとも瞬発力が大きいと言える。ただ、3気筒エンジンで、しかもダウンサイジングターボともなれば、理論的には当然のことだが、 1 , 2L のポロのエンジンよりも、上の伸びが良くない。高速道路の追い越し車線に出るときなどは、出だしの印象で余裕だと思っていると、上まで回らず、イライラしてしまうことがある。発進時や低回転域での粘りは、特筆すべき点だと思われるので、どちらかといえば、高速道路やワインディングよりも、街中を走ることを得意とするエンジン特性である。音や振動については、今まで乗った3気筒の中で最も小さく、マナーが良いと感じる。出だしで多少バイブレーションが発生するが、ほとんど気にならないし、巡行程度であれば、音は全く車内に入ってこない。アイドリング中の音も、暖気が終わっていれば、聞こえないレベル。高回転まで回すと、エンジン音は車内に響いてくる。ただ、4気筒エンジンだろうが、トヨタやホンダのハイブリッドだろうが、アクセルを踏み込むとそれなりの音は車内に侵入してくるので、音量自体は問題にはならないだろう。問題なのは、音質のほうで、私個人の感想としては、どうしても3気筒の音は軽自動車というイメージが拭えないため、先程述べた、高回転側の伸びの悪さと相まって、高い回転を維持しながらワインディングを走ったりするときは、どうも気持ちのいい気分になれない。ただこれはあくまで感覚の問題であって、最初からダウンサイジングターボや、3気筒に慣れ親しんだ世代であれば、気にならないのかもしれない。 トランスミッションは、基本的にはフォルクスワーゲンの7速と同様に、節度感があって、操作していて気持ちが良い。ギアを変えた瞬間に、カチッとしたフィーリングをもたらしてくれるのは、精度の高いデュアルクラッチならではのものだ。必要に応じてフリッピングも行われるし、変速スピードも電光石火だ。気になったのは、時速0キロから加速するときのクラッチの繋がり方、機械によって半クラッチ動作を行なっているときのギクシャク感だ。ポロでは、半クラッチ動作を行なっているということが、

トヨタ・カムリ 試乗レビュー

イメージ
加速感はとても力強い。モーターが積極的に加速に介入し、なめらかな加速感を実現している。トヨタのハイブリッドはどの車もなめらかではあるが、それに力強さをプラスした感じ。濡れた路面では多少荒くアクセルを踏むだけですぐに電子制御が介入する。今までのトヨタのハイブリッドの印象としては、出だしのトルク感はあるものの、高速域ではあまり伸びない印象があった。それは、構造上仕方のないことだと思っていたのだが、新型のカムリに関しては、高速域からさらに加速する時でも伸びが良い。排気量の大きいエンジンの余裕を感じるので高速道路で追い越しをかけるときなどはとても楽。停車時から加速するとき、最初はモーターのみを使用するが、速度が乗ってきたり、アクセルを踏み込むと、エンジンが始動する。エンジンが始動した瞬間のショックは、決して大きいわけではないが若干感じた。プリウスやプリウス PHV よりも大きいが、もしかしたら、まだ新車で、トランスミッションがよくなじんでいないからかもしれない。 エンジン音はモーーというこもった音で、トヨタのハイブリッドに慣れている人にとてはおなじみのものだろう。巡航レベルであれば音はほとんど聞こえない。アクセルを踏み込んだ時は車内にエンジン音が響くが、アクセル全開で、静かなままのガソリンエンジン搭載車なんてほとんどないので、これは仕方ないだろう。パワートレイン、ドライブトレインに関して、先代モデルと比較して、フィーリング的には大きく変わらないが、全域で力強くなった。特にも高速域でさらに伸びる特性は今までのトヨタ製ハイブリッドには感じられなかったレベルで、この進化は大いに歓迎したいところ。 ハンドリングに関しては、先代モデルでもレベルは高かったが、さらに磨きがかけられた。 TNGA の恩恵か、重心の低さをよく感じる上に、ハンドルの重さもちょうどよく、運転に没頭できる。ボディーやシャシーの剛性はさらに高められ、全長の長い、 D セグメントのフルサイズセダンとは思えない身のこなしを見せてくれる。ハンドルの応答性は高く、ハンドルの動きにしっかり車の動きが追従してくれるため、かつてのような、ルーズなトヨタのハンドリングは見る影もない。高速でカーブを曲がっていくシチュエーションでも、足がしっかりと動き、路面を捉え続けるため、不安感を

メルセデスベンツ・CLAシューティングブレーク 試乗レビュー

イメージ
視界は良くない。 A180 と同じだろうと予想していたが、より圧迫感が大きく、前方の見切りが悪い。後方も長いのだが、実際よりも長く感じ、取り回しが悪そうに感じる。いざ旋回してみると、想像より小回りが利くので驚くが、ちょっと不自然。 シートは、硬く、ホールド感を出そうとしている感じがあるのだが、それにしても硬い。固すぎる。背もたれの角度から腰の部分の出っ張りぐあい、座面の長さまで様々調整できるにもかかわらず、ついぞしっくりくるポジションは見つけられなかったし、 30 分走っただけで腰が痛くなり、車を降りる頃にはお尻も痛くなっていた。一般的には、国産車は乗り降りのしやすさを重視し、ホールド感があまりないシートが多く、一方でドイツの車はホールド感はあるものの、乗り降りのしづらいシートが多かった。 CLA は乗り降りはしやすいが、ホールド感は感じず、またドライビングポジションも悪く感じた。しかも、基本設計が右ハンドルではないためかもしれないが、Aクラス系のメルセデスは概して言って、運転していると踵が痛くなってくる。 エンジンは馬力、トルク共に必要十分だ。ダウンサイジングターボなので高回転側では多少伸び感に不満を持つ人もいるかもしれないが、現代の水準からいえば申し分ないだろう。音については音量自体は小さく、一旦加速しきって巡行体制に入ってしまえば気にならない。しかし、加速中は、音自体はそんなに大きくないが、音質があまり気に入らなかった。いすずのエルフに近いような、 4 気筒のゴロゴロ感があり、プレミアムブランドであるメルセデスを名乗るなら、今一歩乗員に聞かせてくれるエンジン音を提供してほしい。振動はほとんど気にならないが、強いて言うなら、エンジンブレードで減速している時、床やブレーキペダルに振動が伝わってきたのが気になった。アイドリングストップのマナーは、 A180 と同じエンジンであるはずなのに、それよりも良いと感じた。停止時のショックはほんの少しだけで、再始動時の音は、セルの音が遠くの方で聞こえるという程度。振動もわずかだ。プジョーの 1.6 リッターディーゼルほどマナーが良いとは思わないが、フォルクスワーゲンの 1.2 リッターガソリンよりは出来が良い。また、メルセデスは今まで乗ったどの車もそうだったが、アイ

スバル・レヴォーグ 試乗レビュー

イメージ
エンジンは僅かだがターボラグを感じる。しかし、水平対向エンジンらしく、ひとたび回り出せばとてもスムーズ。振動も殆どなく、パーシャル領域ではエンジン音はほとんど聞こえない。直噴ターボらしく、中間トルクはしっかりでているが、走り出しのひと転がりめの加速感がもう少し欲しい。一方でエンジンは 6 千回転までしっかり回るため、運転していて気持ちがいいし、パドルによるシフトダウンもしっかりと決まる。最近はディーゼルや燃費重視で中間加速を高めたセッティングのダウンサイジングターボが主流で、レヴォーグのエンジンもかつてのスバルと比較すると低回転寄りにはなっているものの、全体的に見るとまだまだ高回転型だと言える。スペック的にはレガシィの 2 ・ 5 リッターと同じくらいだが、そちらの方がより自然なフィーリングが味わえる。 CVT は出だしで多少もたつく印象があり、先に言った、ターボラグと相まって、トルクが突然出てしまう印象がある。街中では少し扱いづらいと感じた。しかし、一旦走り出して仕舞えばダイレクト感があるし、パドルシフトの操作もスパッと高速に決まる。デュアルクラッチほどのカチッとした感じはないが変速ショックも小さく、 D レンジだと滑らかに、いつの間にかスピードが出ているという印象。高回転まで回すとベルトのキュルキュル音が聞こえてくるが、低中回転では騒音は聞こえない。 ロードノイズは小さい方だと思う。厳しい目で見ると、やはりワゴンは空間が広く、空気が共振しやすいため、後ろからザワザワ感があると言えなくもないが、ワゴンとしては上出来だし、これよりもうるさいセダンはたくさんある。 ハーシュネスは細かい振動はあまり伝えて来ない。大きな突き上げに関しては足がよく動いて衝撃を吸収する上に、振動が後に残ってブルブル言い続けることもない。とても現代的で好感の持てる乗り心地ではあるが、 STI スポーツのしなやかな乗り味には一歩及んでいない。ワゴンとして、ツアラーとして性能の高さは折り紙つきだが、ビルシュタインの足ほどの洗練さはなく、時々おや?とか感じる突き上げ感がある。 ハンドリングは、ワゴンとしては、などという枕詞をつけなくても良いほどレベルが高い。まるでスポーツかーやホットハッチのように走りたいラインを正確に走ることができ

マツダ・CX-5 試乗レビュー

イメージ
エンジンは先代モデルと比較すると、若干ではあるが静かになった。もともと静かだったので、ディーゼルだからといって気になる人はほとんどいないのではないかと思われる。とはいえ、以前乗ったプジョーでは、巡行程度のスピードであれば、エンジン音が一切侵入してこなかったということを考えれば、あと一歩だと思ってしまう。本当に、人間の欲望というものは、際限がないと思い知らされる。高回転まで回した時は、アメリカの V8 エンジンのような、野太い音が聞こえてくるが、運転好きにはむしろたまらないだろう。振動については車体には響かないものの、比較的強い加速をした場合、エンジン振動なのか、トルクステアの一種なのかわからないが、ハンドルがビリビリと言っていたので、プレミアム路線をマツダが狙っているとするなら、ここは改善した方が良いだろう。低回転からトルクがぐんと立ち上がり、それでいて 5500 回転までトルク落ちすることもなく、きちんと回る、マツダの 2.2 リッターディーゼルは、先代モデルに搭載されていた時から好きなエンジンではあったが、その特性はきちんと受け継がれており、ターボラグも、アイドリングストップ復帰直後以外は、ほとんど感じることもなく、気持ちの良さは健在であった。振動や騒音といったマナーは、プジョーのディーゼルに負けてしまったとは思うが、こんなに軽く、高回転まで吹け上がってしまうディーゼルは他にはない。ただ単に楽しいだけではなく、下り坂でエンジンブレーキを使う時などは、とても頼りになる。 マツダ内製の、6速トルクコンバータ式オートマチックについては、先代のモデルにおいて、最も大きな弱点であると感じた点でであった。先代モデルをレビューした際、私は、マナーの良さに起因するプレミアム感と、ダイレクト感に起因するドライバビリティーを生みだすため、トルクコンバータ式であれば、8段は必要だと感じた。ところが、いざ新型が発表されて見ると、パワートレインもドライブトレインも、特に大きな変更はなく、変速機も6速のままで、心底がっかりしてしまった記憶がある。したがって、この点に関しては、あまり期待せずに乗ったわけだが、ところがどうして、以前のモデルよりも、格段にレベルが向上しているではないか。先代モデルでは、ロックアップ領域が大きいと謳われて

プジョー308BlieHDi Allue 試乗レビュー

イメージ
デザインは LED のヘッドライトなど現代的な演出があるものの、基本的にはとてもシンプル。シンプルなデザインが多いイタリア車フランス車の中にあっても、かなりシンプルなほう。 後部座席は狭い。全長が短いためということもあるだろうが、今まで乗った、現代の C セグメントの中では最も狭いと感じる。 乗って一番最初に感じるのは、小さなハンドルの上側に、メーターを配置するという構造が、思ったよりも親しみやすいということだった。ハンドルの中を通してメーターを見る車が多いのだが、たしかに視線移動は多く、また場合によっては見辛いこともある。それを解消するには、ハンドルを小さくするしかないということは、ちょっと考えればわかることではあるが、本当にやってしまう勇気があるプジョーはすごい。シートの形状がもう少し良ければ、さらにフィットしたドライビングポジションが得られるとは思うが、この新たな感覚は、自動車の構造的な提案として、素晴らしいものがあると思う。ただ、タコメーターが左回転なのは最後まで慣れなかった。 エンジンは、今まで乗ったクリーンディーゼルの中で、最も気に入った。低回転からトルクが太いのは当たり前だが、レブリミットまでフラットにパワーが出る。回転にはディーゼル特有のもったりとした感覚もなく、非常に回りたがる性質を持つ。ターボラグはほとんど感じることはなく、もう少し高い回転数までまわれば文句はないが、フィーリングとしては最高の部類のディーゼルだと思う。振動はほとんどなく、外にいるとディーゼルらしいアイドリング音が聞こえるが、中にいるとガソリンと変わらない。それどころか、巡行レベルであれば、エンジン音が全く聞こえなくなってしまう。フランスは小型ディーゼル車の本場と言われるが、正直いままで侮っていたかもしれない。ディーゼルに乗っているというよりは、トルクがとんでもなく太い、ガソリンエンジン車に乗っているという感覚にさせてくれる。ここまでガソリンエンジンっぽいディーゼルは初めてだ。 トランスミッションはアイシン AW 製のトルクコンバータ式6速だが、さすがにダイレクト感や変速スピードでは、フォルクスワーゲンのデュアルクラッチにはかなわない。今の時代、デュアルクラッチが絶対的に優れていると発言するのは、時代遅れなことだと思

フォルクスワーゲン・ポロ 試乗レビュー

イメージ
エンジンは 1.2l のダウンサイジングターボ、低回転では非常にトルキー。高回転での気持ちよさは NA にちょっと譲ってしまうが、全体としては優秀だと思う。4000回転位が最もパワー感があり、そこから徐々に息切れして行くような印象。 1160kg のボディを引っ張っていくには充分以上のトルクとパワーだ。低速でゴロゴロ感は多少あるものの、パーシャル領域ではエンジン音はほとんど聞こえない。振動は、回転数が上がった時に、若干ハンドルに伝わる。 7 速 DSG は出だしでトルコンや CVT にはない不自然な動きが出る。クラッチが繋がるまでのタイムラグがあり、加速しないと思ってアクセルを踏見込むと突然トルクが出てしまう。ただ、コツはすぐに掴めるのでジェントルな発進を心がけていれば、それほどマナーが悪いとは思わない。変速はショックなく、かつスピーディに決まる。感覚をつかんで仕舞えば、マニュアルモードで峠道を走るのがとても楽しい。ツーペダルながら、自分は今、機械を操作しているのだと、運転者に意識させてくれる演出は、大衆車ブランドである、フォルクスワーゲンだからこそかもしれない。メルセデスの7速デュアルクラッチは、マナーはいいものの、この車と比べると、機械を操作する喜びに欠けていると感じた。 アイドリングストップのマナーは、正直良くない。始動した瞬間にぶるっと車全体が震えるし、クラッチが繋がった時に突然トルクが出てくる。メルセデスでも思ったが、アイドリングストップの技術に関しては、日本メーカーがかなり優位だ。 ロードノイズは比較的入ってくる、風切り音はとても小さい。 ハーシュネスについては、比較的大きい。ボディ剛性がとても強く、塊感があるため、アンジュレーションを受け止めた後、揺れが続くことは一切許さないが、その代わり、道路の凹凸は一つ一つ粒立てて伝えて来る。ちょっと設計の古い、ドイツ車の典型的な乗り心地で、日本人やアメリカ人、あるいはイギリスや北欧の人はあまり好まない、大陸ヨーロッパ人好みの乗り心地であると言える。足は引き締まっているが、ボディーの一体感はとんでもないレベルにあるため、個人的にはとても好きな乗り心地だ。マツダや、最近のトヨタも、どちらかといえばそういった傾向にあるが、小さな車でも、雄大で、スケ