トヨタ・ミライ 試乗レビュー











着座位置がとても高い。SUVに乗っているような気になる。FCスタックやバッテリーなどの影響だろうか。
シートは見た目から想像するよりも硬い。特に腰回りは要改善、腰が痛くなってしまった。

加速感は悪くはない。停車時から加速するときは、モーターらしく力強くトルクが出てくる。しかし、高速域になると伸びが悪くなってくるというのもモーター特有の感覚。
アクセルを強く踏むと、燃料電池からモーーという音が発生する。これは、電気自動車にはない感覚。総合的には、車重やタイヤのせいでリーフの加速ほどの気持ちよさはないが電気自動車らしいシームレスさと静粛性を楽しめる。
ロードノイズはエコタイヤっぽい低周波のゴロゴロ音を感じる。
風切り音も少ないことは少ないが、高速道路では若干聞こえる。
モーターなので振動は当然ないが、FCスタックなどの振動も起きない。
足回りはショーファードリブン需要を見越してか、安定よりもむしろコンフォート志向。重厚感もあり、殆どの人は乗り心地は良い車だと感じられるかもしれない。それ故にエコタイヤのゴロゴロ感、コツコツ感は惜しい。コンフォート系のタイヤであれば、高級セダンと同等の乗り心地に感じるかもしれない。
ハンドリングは中央付近のフィーリングが甘いが、切り足していくと正確になっていく。車重が重いため、タイヤに対する負荷が大きく、切り込みすぎるとズルズル外側に引っ張られていく。重心は低く、剛性も強いので車の動きは把握しやすいのだが、緊急回避行動は怖そうだ。
スタビリティは重い車体に対して、ここでもタイヤのプアさが災いしてか、あまり良いと感じなかった。路面からのアンジュレーションでタイヤが設置感を失うし、高速域では集中していないとまっすぐに進めない。

水素充填の時、湿度が高いという理由で、係員が何か時間のかかる操作をしているようだった。単純に挿せば充填されるというものでは無いらしい。スタンドのセルフ化は不可能かと思われる。
所々ツッコミどころはあるが、普通に、車として良いものだと感じる。まだまだ一般に普及しそうにはないが、4人乗車のショーファーとして政治家やエグゼクティブの送迎には良い。回生ブレーキによるエネルギー回収が行われるため、特にも都市部で使用するのが最適だと思う。
近い将来、化石燃料を使う乗り物は無くなるだろう。でも燃料電池車が全てそれにとって変わられるとは考えづらい。
電気自動車の価格はだいぶ安くなってはきたが、燃料電池車の価格をこれ以上下げることはできるのだろうか、装置一つ一つを小型化することはできても、そもそもの複雑な燃料電池車の構造を根本的に変えることができるのだろうか。そして何より、水素の生産や充填設備を簡素化し、道路税を取ってもなお、水素自体の価格を現状より安くすることはできるのだろうか。
燃料電池車が庶民の手に行き渡る日が来ることは無いだろう。おそらく庶民は充電時間や航続距離という不便を強いられながら電気自動車を使用し、燃料電池車の恩恵を受けることができるのは、一部のお金持ちだけ、つまり燃料電池車は、今後も高級車であり続けるだろう。
というのが、私が毎回記録しているメモに書かれている内容だ。しかし、先日、トヨタと、東京工業大学が、全個体電池という、充電時間数分、容量は数倍という、とんでもない電池を開発した。ソースによって異なるが、2022年に製品化される公算が大きい。単純計算で、その電池を採用した電気自動車の航続可能距離はミライクラリティーを超えるし、充電時間も、水素の充填時間と、たいしてかわらないということになる。ガソリン車やディーゼル車が、この世から消え去る未来が見えてきた。それと同時に、燃料電池車も、存在価値のないものとなってしまいかけているのではないか。もしかしたら、私は、ガソリン、ディーゼル、そして一瞬しか活躍できなかった、燃料電池によって動く車にのることのできた、大変ラッキーな世代の人間なのかもしれない。


走行距離190km 水素充填量2.6kg  料金3088円

詳しい解説はこちらをご覧ください!↓
https://www.youtube.com/watch?v=cUKVBV5edW0

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