ニッサン・シルフィ 試乗レビュー







前の席はホールド感があり、後ろの席はふかふか、広くてヘッドクリアランスもあり、居住性は良い。サイズが大きくなったので当たり前だが、初代よりも室内は広くなっている。
ドアの内張にもモケットが使われていたりして、質感が高い。灰皿を隠す演出は初代シルフィと同じ。

エンジンは可もなく不可もなく、特徴も特にあるわけでもなく、扱いやすいとも扱いづらいとも言えない。1800ccに期待される水準以上でも以下でもない加速感がある。出だしのトルクも普通だし、高回転まで回しても普通に出る。振動は殆ど伝わってこないし、巡行レベルであれば音もほとんど聞こえない。
トランスミッションはマーチやラティオのような荒っぽさは無く、滑らかでスムースな印象。あまりにもアクセルのオンオフを繰り返すと、流石にあまりダイレクト感は無いが、巡行レベルであれば不快なほどラバーバンドが起きるわけでも無い。エコモードだと回転数をやたらと落とそうとするため、レスポンスが悪くなる。LレンジやODオフだとレスポンス良く、山道を駆け抜けていける。
ロードノイズは非常に小さいレベル。車全体を見渡した場合も勿論そうだが、このクラスのセダンの中でもかなり小さいと言える。低周波音はほぼ聞こえないし、高周波はわずかに聞こえるという程度。車内の会話が弾む。エンジン音の静かさとともに、やはり静粛性にはとてもこだわったのだろうと感じる。
ハーシュネスは悪くは無い。一般的なハッチバックと比較すると、やはりセダンの剛性の高さが活きてきている。ただ、セダンの中ではどうなのかと言われれば、取り立ててすごいというわけでは無い。低速域では時々小さい突き上げを受け止める印象。流石に設計の古さは隠せない。ただ、やはり初代から比較すると進化は認められる。
ハンドリングは相変わらずの日産、まず持ってハンドルが軽すぎる。そして切り出した時の初期のフィーリングは、少しヨレっとした感じで手応えがない。ロールは若干するが、切り返しにそこまで影響を与えるものではない。ラティオと違って、きちんとセダンのボディ形状が活きてきているなということは、後ろの剛性の強さや接地感安定感によって実感できるが、あえてセダンを買うのだという意思に応えるものでは無い。高速コーナーでは最近の日産にしては安定しているが、やはりセダンによる形状的な有利さと、重心の低さによってもたらされているだけだなという印象。ヨーロッパ車が全て正しいと言うつもりはないが、かつて日産がヨーロッパ車を手本としていた頃のフィーリングを取り戻して欲しい。
高速域では非常に安定している。これは安心した。車の姿勢はフラットだし、ハンドルも高速になると落ち着いて来る。初代のシルフィの時も思ったが、細々としたワインディングを走るよりは、高速を保ったまま走り続ける人にはとてもいい車だと思った。そういう意味では未だに日産のセダンは、ドイツ車に近いフィーリングをまだどこかに保持しているのかもしれない。

細部にわたって上質というキャッチコピーだった初代と比べると、デザイン的には日本的情緒性が少し薄くなり、ヨーロピアンテイストな合理性が見える、逆に走りについてはヨーロッパ的な印象は身を潜め、一般的な親しみやすい日本車に近づいた。
とは言え、やはり走らせていると、初代の面影がどことなく見えて来る。高速域になるとボディがどんどん安定して来るというのは、特に車に興味はなくとも、車に対して目の肥えている中高年層には訴求力が大きいだろう。ワインディングも相変わらず苦手だが、初代は当時のサスペンションの技術不足によるロールがその原因だったのに対し、このシルフィでは電動パワステの精度やセッティングなど、合理化がその原因かと思う。
米中では続々とモデルチェンジされている様々な日産製セダン。どうせセダンが売れない日本では、このまま合理化が続いていくのだろうか。

今回燃費12.8km/L 走行距離430km  給油量33.5L

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