トヨタ・アルファードエグゼクティブラウンジ 試乗レビュー













エクステリアは、押し出し感が強く、迫力がある。個人的にはヴェルファイアの方が好きだが、押し出し重視の人にはアルファードがオススメ。
エンブレム周りは、もうすこし質感が欲しかった。
内装はとても豪華。ワンボックスなので、表面積が広いはずだが、値段を考えても良くできていると思う。
ボタンを押した時の質感や、レバーの操作感に節度がないのが気になった。ここらへんは、いくら上位モデルとはいえ、300万円台のグレードと、同じ車種だというところを意識させてしまう。
最後部座席はさすがにシート形状は普通のミニバンといった感じ。しかし、内張には手を抜いておらず、革の触り心地も良い。6名程度であれば、満足に移動できる。。

エンジンはとても静か。周り方もスムーズだし、回転も気持ちがいい。ただ、エンジン音は好きになれない。
低回転からとてもトルキーで、2.5tの巨体をヒョイヒョイ動かしてくれるが、これよりも非力なパワートレインだと、不満が出るだろうなとも思う。6ATは繋がりがとてもスムースなのに、ダイレクト感もある程度もたらしてくれる。マツダの6速とけっこう似た動き方をする。スポーティーなマツダ車なら不満が残る点だけれど、ミニバンとしては充分だと思う。
FFだとトラクションが非常に不足している。ウェット路面ですこしでもラフなアクセル操作をすると、すぐにホイルスピンしてしまうので、アクセル操作は慎重にやらなければならない。プレミアムカーの乗り心地として、ここは惜しいところ。ただ、4WDにするとか、もっとグリップ力の高いタイヤを履くとか、出力の低いHVグレードを選ぶとか、解決策はいろいろありそうだ。
ロードノイズは、高級セダンと比べてしまうと流石に不利ではあるが、それでも一般的なセダンと比べると完全に静か。エコタイヤではなく、コンフォート系タイヤなら、ほぼ無音になるのではないかというレベル。風切り音も、側面の窓から聞こえてくるが、これも、雨避けさえなければ無音に近くなるはずだ。
前席の乗り心地は、とてもすばらしい。助手席にもオットマンがついており、肘掛けがないことを除けば、ほとんど真ん中の席と同じ居住性だ。ハーシュネスは小さく、タイヤの接地感も良く感じ、高速域や、急カーブでも不安が小さい。見晴らしも良いため、真ん中よりも助手席を好んで乗りたがる人がいても不思議ではない。
真ん中の席の乗り心地は当然良い。普通のミニバンで感じるような、床がバタついている感じは、高級セダンよりは流石にあるが、まあ殆ど無いと言っていい。路面からの突き上げもミニバンとしては非常に少なく、安楽で快適。エコタイヤではなく、コンフォートタイヤであれば、不満を口にする人はいないのではないか。少し気になったのは、座席のホールド感が良いぶん、取り付け剛性をもう少し高めてほしい。車が揺れた時に、腰のあたりがぷるっと動くことがあった。また、前の席に比べると、遠心力を強く感じた。高速で走行しているときや、ワインディングを少し早いペースで走っている時の恐怖感は、前の席の倍くらいに感じる。紳士的で、信頼できるドライバーがハンドルを握っていれば、真ん中の席は最高の移動空間だ。
ハンドリングは、とても良い。こんな巨体で2.5tあるにもかかわらず、エコタイヤを履いている、背の高い車が、ハンドリングがいいわけがないと思っていたのに、正直度肝を抜かれた。ハンドルの応答性と、ハンドルセンターの収まりにだけ限って言えば、プレマシーよりもレベルが高いし、2.5トンを操っているとは思えないくらいのキビキビ感と、エコタイヤとは思えないくらいんのバイト感がある。コーナーを早いスピードで駆け抜けていくのがとてもたのしい。
剛性感も、ボディー形状と車の大きさを考えたら、信じられないくらい高いし、車高と車の装備を考えたら、重心も低いとすら感じてしまう。本当に軽々と、キビキビ車の向きが変わってしまうので、ステアリングギア比をもっとクイックにしてもいいのにと思ってしまうほど。
しかし前述した通り、後ろに人が乗っている場合は、恐怖感があるために、たのしいからと言って飛ばしすぎると後部座席のお偉いさんに怒られてしまう。
以前乗ったエリシオンのハンドリングは流石に超えてはいないが、もう1世代くらい進化したら、同等くらいにはなってしまいそう。
スタビリティーも高いと言える。ハンドルセンターはピシッと定まっているし、高速域での不安も少ない。

前評判などから、乗り心地がいい車であるということはわかっていたし、期待通りだった。乗り心地も良いし、なによりも、セダンよりも多くあるスペースを活用することによって、高級セダンではなく、高級ミニバンならではの良さを存分に活かせているのはさすがトヨタ車だと思う。それよりも更に驚いたのは、アルファードが普通に運転が楽しい車であるということ。今までは正直、ミニバンのドライバビリティなんてセダンの足元にも及ばないと思うところがあったし、実際、そういう車が多いことも確か。しかしながら、アルファードのハンドリングやスタビリティーはドライバビリティーにうるさいと自覚している私でさえ、これならいいかと思えるレベルであった。ショーファードリブンの皮を被ったドライバーズカー。そういう車はセダンにはたくさんある。しかし、ミニバンでそのような車に出会ったのは初めてだ。ミニバンは、ショーファードリブンにも、ドライバーズカーにもなれやしないんだ。そういうステレオタイプを持っていた自分を恥じ、食わず嫌いはやめようと思う、本当に勉強になった、実のある1日だった。
652万円と言う本体価格、この捉え方は前編でも申し上げた通り人それぞれだと思う。ミニバンにそんな価格払えないと言う人は、絶対いるだろうし、最下位グレードのほぼ倍の値段なんか出せないと言う意見ももっともだと思う。これは価値観の問題なので、反論の余地は、正直に言って無い。しかし、これまで1000万円超の高級セダンがやってきたことを、ある面では凌駕しつつも、しっかり継承できているという点は評価すべきポイントでは無いか。

今回燃費7.9km/L 走行距離463.7km 給油量58.7L

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